島田に婿(とつ)ぎました。〜前編〜

こんにちは。
ライターのSaoriです。

島田のモヤモヤしている人の話を聞きたい。
そう考えた時、真っ先に、ある人物が思い浮かびました。

ある男性。
末っ子次男の亮太さん。
出身は愛媛県です。
奥さんとは東京の会社で出会い、縁があって結婚。

そして、彼は「奥さんの実家」である「島田市」に居を構えます。

タイトルには「婿ぐ」と書きましたが、彼は婿入りでも、マスオさんでもありません。
しかし、私の中で、「何の縁もない奥さんの実家近くに住む」ことって男の人にとって「嫁ぐ」ことと同じくらいの覚悟なのかなと…。
そんな思いで作った造語です。

今回はそんな彼に話を聞かせてもらいました。

故郷は愛媛、上京して15年。そして静岡へ…。

▼Saori

ではさっそくお話を伺っていこうかと思うのですが…。

▼亮太さん

はい、よろしくお願いします。

▼Saori

まず、東京からこっちに来て何年目になります?

▼亮太さん

2014年の9月に結婚したから、ちょうど6年くらい経ったのか。

▼Saori

今は静岡に住んでますけど、東京に住んでいた時はやっぱりずっと東京に住むことを想像してました?

▼亮太さん

東京にいた頃は、なんとなくだけど、ずっと年取ってからも東京に住んでるってイメージはなかったなぁ。
成り行きで生きてた感じだから。先のこともあんまり考えてなかったしね。
けどジジイになっても住んでるってイメージは不思議となかったね。

▼Saori

結婚を意識した時はどう思ってた?

▼亮太さん

結婚して東京で暮らす想像もしてた。
当時は野方に住んでて、高円寺とかよく行ってたから、あの辺2人で住んでたのかなとか。
まぁでもマイホームは無理だっただろうね。
賃貸で、子どもができたら郊外のマンションに引っ越して…とか。
どっちにしろ東京での暮らしは共働きじゃないとキツイなとか。

▼Saori

静岡に住むって決めたのはなぜ?

▼亮太さん

奥さんの体調を考えて。東京に住むことが負担になるんじゃないかと感じたから。
奥さんが東京がいいと言ったら東京に住んでたし…。
でもご両親が心配してたのも知ったからね。

▼Saori

では静岡に来て「寂しい」って思ったことは?

▼亮太さん

友人がこっちにいないからね…。
飲みたくなったり、友達と飲み屋でくだを巻いたりしたい時はあるかな。

▼Saori

逆に「よかったな」って思ったことは?

▼亮太さん

家を建てられたのは、東京じゃ絶対できなかったからよかったかな。
あとのんびりできるのがいいね。
釣りもできるし。
焼津によく行くけど焼津にはロマンがあるよね。
釣りをしながら考え事をしたり、ボーッとしたり。
釣りしている時が癒しの時間。
東京にいたらこんなことできないからさ。

ゴミゴミしてない、せかせかしてない。
静岡にきて自分が穏やかになったと思う。
人に対して怒りを持たなくなったし。
まぁこういう人もいるよな、と。

焼津の海で家族で釣り

どこに住んでも変わらない

▼Saori

なるほど。
静岡に来てびっくりしたこととかありますか?県民性みたいな。

▼亮太さん

コンコルドのCMにはビックリした(笑)。あと『久保ひとみさん』の人気ね。
あと衝撃的だったのが、その辺で立ち話を長くしている人!
玄関先で長話しとかするじゃん。全然理解できない。
家や店に入って話せばいいのにって思った。

それと、県民性かわかんないけど、女の人の方が強いよね。
シャキシャキしてるっていうか。
男の人は本当のんびりしてる(笑)。
「いいよいいよ、どうにかなるよ」って感じ。柔らかい人が多い印象ある。

▼Saori

へぇ〜女の人が強いね…。確かに。
そんな静岡、島田に今は住んでいますけど、結婚する時に、どこでも自分の好きなところに住んでいいよってなった場合にはどうしてました?

▼亮太さん

別に絶対東京がいいとかなかったし、東京に未練がなかったからね。やっぱり奥さんの体調次第で決めてたかなぁ。
通販とかもあるし、何ら田舎暮らしで困ることはないからね、今の時代。
東京にいても静岡にいてもそんなに変わらないし。どこに住んでも一緒だから。

▼Saori

ふむ。
そんなにこだわりがないんですね。

▼亮太

そうですね。

▼Saori

では、ここでの老後の生活はどんなものを想像していますか?

▼亮太

好きなことやってのんびりしてるかな。
仕事引退はローンもあるし70歳くらいか…(苦笑い)。

朝早く起きて庭いじって。
釣りに行ったり、楽器をいじったり。
あと家のメンテナンスとか。
たまに奥さんと出かけたり旅行したり。
まぁ今と変わらないな。

家庭菜園

▼Saori

本当、今と変わらないですね。
何している時が幸せですか?

▼亮太

釣りしてる時。
釣りの準備。
あとギターのメンテ。
あとはのんびり家で家族と過ごしたり、出かけてる時かな。

趣味のギター

▼Saori

真っ先に釣りが出てくるんですね…。
ま、いいや(苦笑)

親への思い

▼Saori

亮太さんは実家が遠いですけど、やっぱり実家のお母さんのことが心配だったりしますか?

▼亮太

あと生きているうちに何回会えるかなぁとかは思うね。
母親も会うたびに老いを感じるし。
小さくなったなとか。

まぁ心配ではあるけど…それはどこに住んでいても同じだと思う。
うちは長男がしっかりみてくれているから安心っていうのもあるけど。

愛媛の海

▼Saori

親孝行とか考えます?

▼亮太

親孝行はやっぱり孫だね。孫の元気な姿見せたり、会わせたり。
あとは、自分の家族が平穏に、健康に過ごしていることが1番の親孝行なんじゃないかな。

▼Saori

そうですね。
では今何か不安に思っていることってありますか?

▼亮太

不安かぁ…不安ねぇ。(しばらく考え込む)

そんなないね。
子どもが大きくなっていくにつれてお金がかかるから、そこだけ心配かな。
あとは、お互いの両親の健康とか。
いつまでも元気ってわけじゃないと思うし、いずれその辺のケアが必要だろうなと。
漠然と思ってはいる。

▼Saori

じゃあ不安ではなく「不満」はあります?今の生活に。

▼亮太

不満?不満かぁ…(すごく考え込む)

釣れない。
アジが釣れない。
焼津行ったらアジが釣れるかと思ったけど釣れない。

▼Saori

また釣りですか。
そればっかりだな。
他にないです?

▼亮太

あーあと時々東京が懐かしくなるね。
古着屋街とか居酒屋街とか、好きだったから。

そうだ!あとあれ、静岡空港から松山空港行きの飛行機飛ばしてほしい。
実家まで交通が不便で行きづらいのが嫌だね。
電車乗り継いで一日くらいかかっちゃうから。

▼Saori

それはすごく共感しますね。

古着屋街
飲み屋街

これから島田へ婿(とつ)ぐ男性へ

▼Saori

では最後に、亮太さんと同じように、これから縁も所縁もない島田に婿(とつ)ぐ男性に何か伝えてあげたいことはありますか?

▼亮太

のんびりしている人ならこの辺は住みやすいと思う。
あったかいし、雪降らないからサイコーです。
食べ物もお酒も美味しいし。
逆にせっかちな人はイライラするかも。
東京に近いからすぐ行けるし、田舎で自然はキレイだし。
すごくいいところです。

あ、あと静岡って広いから、中部、東部、西部で全然気質も違うからビックリすると思う。
よくわからんけど、静岡市と浜松市で仲悪かったり?対抗心があるよね。
そういう予備知識は必要かも(笑)

静岡名物盛り

▼Saori

何か島田市に対して言いたいことある?

▼亮太

…何もないな。

▼Saori

言いたいことは何もない?

▼亮太

いや、島田に何もないってこと。
友達が遊びに来た時、とりあえず蓬莱橋行って、あと行くとこなかったからさ。観光地的なね。

▼Saori

まぁそれは島田に限ったことじゃないけどね。

▼亮太

確かにね。

▼Saori

…ありがとうございましたー。
ということで、取材を終えて感じたこと。
「なんか、楽しそうでよかった」

…実は亮太さん、私Saoriの夫です。
結婚を機に、自分の実家近くに住んでもらったことに対して、本当は私が一番モヤモヤしていました。

インタビューの様子を不思議そうに見ていた娘。
「私もインタビューされたい!」と乱入してきました。

▼Saori

好きなたべものは何ですか?

▼娘

納豆!お豆!!

▼亮太

白米と、豆腐、あと黒はんぺんフライは絶品!

▼Saori

好きな場所はどこですか?

▼娘

ゆめみらいパーク!

▼亮太

海かなぁ。
吉田の海がいいね。

何気なく始まったインタビューごっこ。
たわいもない時間が、のんびりと過ぎていきます。
好きな食べ物も、好きな場所も、ちゃんとこっちの物で、こっちの場所なんだ。
ちゃんと、偽りなく、夫は質問に答えてくれたことがわかった瞬間でした。
私の心が、すっと、落ち着くべきところに落ち着いたような感覚。

今までなぜ私はここまでモヤモヤしていたんだろう。
そこで私は、夫と一緒になった、私自身を省みてみようと思いました。
この続きは後編で…。

「島田に婿(とつ)ぎました。〜後編〜」へ続く